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アメリカ英語ではhave goneで経験を表すことがよくあります。もちろんhave beenもよく使われるのですが,have goneも,everやnever,four timesやoftenなどといっしょに使われて経験を表すことがあります。 また,have goneは反復を表すこともあります。次の(4)を見てください。
(4)のhave gone to Cape Codは,過去4年間,毎年夏になるとケープコッドを訪れたという反復の意味を表します。経験や反復の意味なら,当然,今ここにいてもいいので,最初に,これらの意味を除いておく必要があります。 次に,「行ってしまって今ここにはいない」という完了の意味だけに絞って考えることにしましょう。完了の意味と言っても,実は2つの解釈の可能性があります。たとえば,(1)には次の(5)aと(5)bの2つの意味があります。
しかしどちらの解釈をするにしても,「行ってしまって今ここにいない」という点では同じです。 ここで最初の質問に戻りましょう。(2)が使われる場面はあります。私のことを例にして考えてみます。たとえば,私が指導している学生が12時に私の研究室に来ることになっているとしましょう。ところが,その学生が12時15分になっても現れないので,私は1人で学食に昼食を食べに行くことにします。私は紙に(2)の文を書いて,研究室のドアにテープで貼り付けて出かけるかもしれません。留守番電話に(2)を入れておくかもしれません。同じ場面で次の(6)-(8)の文を使うこともできますが,(2)を使う可能性が一番高いかもしれません。
この質問をしてくれた生徒さんは,「I have gone to the cafeteria.は 『私は食堂へ行ってしまって,今ここにいない。』よし,訳ができた。終わり。」とせずに,この文が実際に使われる場面はどのような場面か,そもそもそのよ うな場面があるのだろうかと考えられたわけです。英語の文が実際にどのような場面で使われるのか考えてみることは英語を正確に使う,いい訓練になります。 (本稿を書くにあたりEdward Quackenbush先生のお力添えをいただいたことを申し添えます。) 大阪大学教授 岡田伸夫 |