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more than oneの数の問題はfewer than twoの数の問題といっしょに考えるとよくわかります。次の4つの例を比べてください。
fewer than i は,more than i 同様,i 自身を含みません。したがって,fewer than two of the studentsは「その学生の中の2人以下」ではなく,「その学生の中の2名未満」,言い換えると,「その学生の中の1名」なのです。それでも,fewer than two of the studentsはisではなく,areで受けます。 (2)と(4)が非文法的だということは,more than one of the studentsとfewer than two of the studentsに続く動詞の数を決定するものがそれらの意味ではないということです。では,何がそれらに続く動詞の数を決定しているのでしょうか。more thanとfewer thanを消す(無視する)と何が残りますか。one of the studentsとtwo of the studentsですね。実は,more than one of the studentsとfewer than two of the studentsに続く動詞の数を決定するのはmore thanとfewer thanの後続部分なのです。 もう1つおもしろい表現があります。「many a+単数名詞」という表現をご覧になったことがありますか。硬い英語あるいは古風な英語ですので,ひょっとしたらご覧になったことがないかもしれません。次の(5)の例文を見てください(Longman Dictionary of Contemporary English, 4th ed.のmanyのエントリーにあがっている例文です)。
「many a+単数名詞」の意味は「たくさんの…」ですが,この表現が主語になると単数形の動詞が呼応します。動詞は,「many a+単数名詞」の意味ではなく,manyに続く「a+単数名詞」の形に引かれて単数形の動詞で呼応するのです。 最後に分数の例を見てみましょう。1を3等分した1つをthirdと呼びます。3分の1はthirdが1つあるのでa (あるいはone) third,3分の2はthirdが2つあるのでtwo thirdsです。次の(6)を見てください。
「one third of the 名詞」の文法上の数を決めるのはどの部分でしょうか。上の(6)bでは,one thirdが単数形であるにもかかわらずbe動詞はwereになっています。ということは,one third of the menの数を決定しているのはmenの部分ということになります。 逆の例を使って見てみましょう。3分の2はtwo thirdsですが,(6)bのmenが数を決定していますので,(6)bのmenの位置に来るものが単数名詞であれば,それが動詞の単複を決定する(単数形の動詞を要求する)はずです。次の(7)を見てください。
(7)ではpropertyという単数名詞が使われているので動詞がgoesになっているのです。 以上,(ァ)more thanから始めて,(ィ)fewer than,(ゥ)「many a+単数形名詞」へと進み,最後に(ェ)分数を取り上げ,主語名詞句の単複の概念ではなく,主語名詞句の一部の形が動詞の単複の形を決める場合があるということを見てきました。 大阪大学教授 岡田伸夫 2004年11月26日 |